【あらすじ&ひとりごと】
住野よるさんの作品を久しぶりに読みました。久しぶりだったので、期待していたのだけど、思いのほか頁が進まず、読み終わるのにかなり時間がかかってしまいました。
青春小説って、すぐに入り込めないというか、読み始めて自分のリズムに乗るまでに時間がかかってしまうんですよね。
「愛されたい」と願うあまり、他人に本当の自分の姿を見せられずにいる女子高生の糸林茜寧。
ある日、偶然出会った小説『少女のマーチ』の登場人物「あい」に似た宇川逢と出会う。
そして、アイドルグループ「インパチェンス」のメンバー・後藤樹里亜もアイドルとして生きるために自分を偽り生きていた。
恵まれた中で日々を過ごし、一見幸せそうだけど孤独の中にいる茜寧、真っ直ぐな性格であるライブハウス店員の逢、そしてアイドル・樹里亜。この三人の視点を中心に物語が描かれ、本来の自分を見けてほしいと願い、模索していくストーリーです。
人に「愛されたい、好かれたい」、人から「嫌われたくない」という思いは、大抵の人が思っていることでしょう。
でも、世間にはいろいろな人がいます。おもて面だけ良くて陰では別のことを言っていたり、またはその反対。厳しくもはっきり言える人は、知るとなかなかいい人だったり。茜寧のようなタイプでも自己嫌悪に陥らない人など、様々ですね。
腹を割って話し、互いがわかり合えればいいですが、それは衝突してみないとわからないし、傷つくこともありますからね。
基本は、自分に正直でいること。簡単そうで難しい、どうすれば自然にできるかですが。
他人のために、自分のために、嫌われるだろうことを言わなければならないときもあるから、人と接して、人を幸せな気持ちにさせている、自分も愛されている、それを実感できるなら、若者は悩まず自信をもって生きてほしいかな。
読みながらそんなことを思いました。
物語は、登場する『少女のマーチ』の著者・小楠なのか のインタビューから始まり、そして終わります。
そこには、作家として住野さんご自身の思いを重ね合わせているように感じました。