【あらすじ&ひとりごと】
辻村深月さんの作品は、ホラーもあり、青春小説もありで、ジャンルが幅広い。
高校生を主人公にした作品も多く、思春期の心を繊細にあらわす言葉が切ないながらも、気持ちを軽くしていく。
本作は、その高校生が主人公で、島暮らしの高校生の日常を軸に、島暮らしゆえの困難さなどが描かれ、心とともに大きく成長し巣立っていく物語です。
瀬戸内海の小さな島、冴島を舞台に島で暮らす高校生4人が、大人たちが暮らしていく中での覚悟を見ながら、巣立っていきます。
友人たちと卒業するまでに一緒にいようと約束する、母と祖母の三人で暮らす朱里、美人で気が強い網元の一人娘・衣花、東京から移住してきた源樹、演劇部員の新、四人は島に高校がないため、フェリーで本土の高校へ通う。
離島の小さなコミュニティの中で四人は、年代を越えた人たちとのつながりを大切にし、島を理解し、成長していきます。
島育ちゆえの苦悩や葛藤を抱えながらも乗り越えていきます。
若者は、教えられずとも大人たちを見て、育っていくもの。
読後、とてもさわかな気持ちです。
美しい島の情景を思い浮かべながら、島の人たちを思い読むことができました。
昨今、地位活性化のため、Ⅰターンを推奨しているところが多くあります。
私も老後いつかは、温かい海辺に住み、自給自足をしながら生活し、休息にはのんびり読書をする。
そんな生活に憧れています。
でもそれは、島の人たちの苦悩を理解していないということかもしれませんね。
講談社(2013)