【あらすじ&ひとりごと】
今回は、東野圭吾さんの『白鳥とコウモリ』(2021年)。
父と子が向き合う真実と嘘、正義と贖罪を描いた長編のミステリです。
東京で事務所を構える弁護士・白石健介が殺害された。犯人として逮捕されたのは、白石の事務所にかかってきた電話の記録から判明した愛知県在住の倉木達郎だった。
彼は犯行を自供し、事件は解決したかに見えたが、息子の和真は疑問を抱く。父親がそんな犯罪を犯すはずがないと直感し独自に真相を探り始める。
同時に被害者の白石の娘・美令もまた、達郎の自供した動機に自分の父親はそんな人間ではないと疑問を抱き調査を進めていく。
そして二人は、33年前に愛知県で起きた未解決の殺人事件が、今回の事件と深く関わっていることを突き止め、現在と過去を結ぶ事実が浮かび上がり、衝撃の真相が明らかになる。
本作品は「被害者の遺族」と「加害者の家族」のそれぞれの視点で描かれていて、どちらにも正義と苦悩が重く存在します。
「いったい真犯人は誰なのか」という単なる謎解きにとどまらず、本当の正義とは、そして罪を償うとはどういうことなのか、という深い倫理観に踏み込んだ内容を我々読者に投げかけてきますね。
タイトルの『白鳥とコウモリ』。「光と闇」「希望と絶望」など、誰しもが心の中に抱えるものを大きなテーマとして、この物語全体を貫いています。
読み終えたあとに深い余韻が残る作品でした。
